Mendeleyには、Elsevierが2021年3月15日にモバイルアプリを終了して以来、iPadアプリがありません(経緯はMendeleyのモバイルアプリに何が起きたのか )。残る現実的な方法は4つです。SafariでMendeleyのウェブ版ライブラリを開く、PaperShip、PDFをダウンロードしてGoodNotesのようなノートアプリで読む、そしてRectoly for Mendeleyです。
私はRectolyの開発者なので、Rectolyの列は、メーカーが自社製品を並べた比較表を読むときと同じ目で見てください。以下はすべて2026年9月24日にApp Storeの掲載情報で確認したもので、ほかから引いた事実には出典を付けました。間違いがあればお知らせください 。すぐ直します。
結論の表
Mendeleyウェブ版(Safari) PaperShip GoodNotes(PDFをダウンロード) Rectoly for Mendeley 開発元 Elsevier Shazino Goodnotes 独立した開発者 App Storeの最終更新 ウェブアプリ(版の概念なし) 2019年11月13日(3.8.5) 2026年9月21日(7.1.24) 2026年9月24日(4.0.0) 価格 無料(Mendeleyアカウント) 無料、注釈ツールはアプリ内課金 $28.99の買い切り、または年$11.99 14日間の試用後 $49.99の買い切り Mendeleyライブラリを開く できる 2025年にMendeley同期不能との報告 できない。PDFを1本ずつ できる ハイライトとメモがMendeleyに戻る 戻る 同期しないとの報告 戻らない(GoodNotesに残る) 戻る(PDFに保存してMendeleyへ書き戻す) Apple Pencilの手書き ペンツールなし PDFファイルに描き込まれる できる(GoodNotesに残る) できる(Rectolyの添付ファイルとして論文に付く) 2段組を1カラムに組み直す しない しない しない する(読書モード) オフラインで読む できない ダウンロード後は可 できる ダウンロード後は可 MacとWindowsでも Mendeley Reference Manager Mac(同じ2019年版) Mac MacとWindows、同じ購入で
以下は各セルの根拠です。
「Mendeleyに戻る」とは何か
Mendeleyの注釈モデルはハイライト・付箋メモ・下線で、それぞれページ上の位置を持ちますが、手書きのインクという型はありません(手書きへの影響はMendeleyのPDFにiPadで書き込む方法 で詳しく書いています)。だから各方法への問いは2つに分かれます。ハイライトとメモはMendeleyのライブラリに届くのか。手書きはどこに残るのか。
ハイライトがMendeleyに届けば、PCのMendeley Reference Managerにもあり、論文と一緒に書き出され、iPadでどのアプリを使ったかに関係なく残ります。届かなければ、書き込んだPDFとライブラリに登録したPDFは別のファイルになり、その対応を覚えておくのはあなた自身です。
SafariでMendeleyウェブ版
何もインストールしなくてよい方法です。iPadでmendeley.comにサインインし、ライブラリを開き、PDFを開くと、ブラウザのリーダーでハイライトとメモが付けられ、そのままライブラリに保存されます。ここで付けたものは、すべてMendeleyの本来のデータとして残ります。
足りないのは、iPadで読む利点のほうです。ペンツールが無いので、Apple Pencilはタップとスクロールにしか使えません。オフラインでは開けません。PDFはそのままの版面なので、2段組は拡大と移動の繰り返しです。ブラウザはリーダーアプリのように読んでいた場所を覚えていません。論文をちょっと確認するには十分ですが、午後いっぱい読み込むには向きません。
PaperShip
PaperShipは長いあいだ、MendeleyでもZoteroでも、この問いへの答えでした。ライブラリを読み、ハイライト・メモ・手描き・スタンプでPDFに書き込めます。米国App Storeに926件の評価があるのは、その歴史の長さの表れです。
2026年9月時点の状況はこうです。現行版は2019年11月13日公開の3.8.5で、それ以降更新がありません。最近のApp Storeレビューは、Mendeley側がもう動かないと書いています。2025年1月のレビューはPaperShipで付けた注釈がMendeleyに同期されないと書き、2025年10月と2026年3月のレビューはZoteroへのサインインが完了しないと報告しています。現在の挙動を私自身で確かめられてはいないので、「壊れていると報告があり、1年以上直っていない」と読んでください。
動いたとしても、注釈はPDFファイルに描き込まれます。端末で読んでいるあいだは問題ありませんが、ほかの場所でも使いたくなったときに困ります。
GoodNotesにPDFをダウンロードする
Mendeleyのアプリではありませんが、実際に多くの人がこうしています。ウェブ版ライブラリからPDFをダウンロードし(手順はMendeleyのPDFをiPadに入れる方法 )、GoodNotesで開いて読み、書きます。GoodNotesのペンの書き心地は評判どおりで、45万5千件の評価がそれを裏付けています。
そのかわり、ライブラリとのつながりを失います。GoodNotesが持つのはファイルのコピーで、そこに書いたものはMendeleyには一切届きません。書き込んだコピーを戻すには、平坦化したPDFを書き出して手でアイテムに添付します。その時点でMendeleyはハイライトをページの一部として表示し、注釈としては認識しません。ほとんどの人はこれをやらず、読書メモは論文の記録から切り離されたまま、GoodNotesの中に残り続けます。
価格は$28.99の買い切りか、Essentialプランで年$11.99です。ほかの用途ですでにGoodNotesを買っているなら追加費用はかからず、これは確かな利点です。
Rectoly for Mendeley
Rectolyは有料の第三者リーダーです。Mendeleyアカウントでサインインし、ライブラリを端末に取り込み、論文を読むために作られたリーダーで開きます。ハイライトとテキストメモはPDFに保存されてMendeleyに書き戻されるので、PCのMendeley Reference Managerにもあり、Rectolyをやめても手元に残ります。
買う前に知っておいてほしいのは、手書きの扱いです。Mendeleyにはインク注釈の型が無いので、RectolyはApple Pencilの筆跡を別ファイルとしてMendeleyの論文に添付します。Mendeley自体はそのファイルを描画しません。ほかの端末のRectolyが描画し、iCloudに版履歴つきでバックアップされ、JSONとして書き出せます。つまり、手書きはiPad・Mac・Windows PCのRectolyの間では論文についてまわりますが、Mendeley自身のリーダーには表示されません。
ウェブ版と違う点は2つです。ひとつは、2段組の論文を1カラムに組み直し、その上でハイライトも手書きもできる読書モード。もうひとつはオフラインで、ダウンロードした論文と注釈は端末に残ります。
限界も正直に書いておきます。14日間の試用のあとは$49.99の買い切りで、Zotero版より高いのは、MendeleyのAPIの制約でアプリ側の処理が多くなるためです。Elsevierとは無関係で、利用にはMendeleyアカウントが必要です。そして、独立して作っているプロジェクトです。実際の挙動は使い方ガイド に、できないことも含めて書いてあります。
どれを選ぶか
ノートパソコンで読むのが中心で、iPadではたまに論文を確認する程度: Safariでウェブ版ライブラリを開くのが手軽です。インストール不要で、ハイライトはそのままMendeleyに残ります。 iPadで何時間も、オフラインでも読みたい。しかもハイライトはMendeleyに残したい: Rectolyです。この3つを同時に満たすのは、4つの中でRectolyだけです。 考えるときは手書きが中心で、それをMendeleyに入れておく必要はない: PDFをダウンロードしてGoodNotesで読むのが合っています。 PaperShip は2019年までなら順当な選択でした。更新が再開されるまで、いまMendeleyとの同期が必要な人には勧めにくいです。
Rectolyの列が本当かどうかは、14日間の無料試用で確かめられます。カード登録は要りません。ウェブ版は、いまブラウザで開けばそれで確かめられます。
Rectoly について
iPad で、あなたのライブラリを読む
お使いの文献管理アプリにサインインすれば、どの論文も Apple Pencil のために作られたリーダーで開きます。買い切り、サブスクリプションはありません。
Rectoly for Mendeley
Rectoly for Zotero